「満州国演義」全九巻読了

 昨年8月から読み始めた満州国演義/船戸与一著/新潮文庫全9巻というこの長い長い小説をやっと読み終えました。最終巻は今年の8月には手許にあったのになかなか読み進まないままでいましたがやっとあと少しを読み終えた。この手の大長編は初めてだったわけではありませんでしたが戦争がらみの大長編は、ショーロホフの静かなドン以来のような気がします。こちらは第一次世界大戦(ロシア革命)中の話ですけど。これは関東軍による満州事変から大東亜戦争(太平洋戦争)敗戦直後までの話。結末は、歴史が示す通りで何も変わらない。この中に「たられば」の話は一つもない。したがって読み進むにしたがいだんだん気持ちが重くなってしまうのです。登場人物は、時の要人軍人から芸能人まで多彩で多い。ハリマオも森光子も登場。しかも舞台は、よく知らない朝鮮半島からビルマまでの広大な大陸。その上文中によく読めない漢字の地名人名や難しい漢字表記多数で停滞することシバシバ。とかとかいろいろ言い訳はあるわけです。結局私があまり漢字を知らない上に想像力が乏しくただ遅読なだけなんですけど。

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 さて感想ですが、時間は掛かってしまったけれども最後まで読むことができました。ここ重要です。正直読書感想を書くのは超苦手なのでここでいろいろ書く事はしません。あくまで小説であるから中で書かれていることに多少の虚構(主人公敷島四兄弟に纏る話など。)があることを諒解した上で、あの時代の日本という国が大陸で何をしてきたのかを知りたいあるいはよく知らない貴殿にお勧めしたい小説です。是非。

 この大長編は、原稿用紙7,500枚約三百万文字で約6MB相当の情報量になる。著者はこれをはるかに上回る膨大な資料から物語を紡ぎ出しておられる。それにしてもこんなに長い話しを最後まで破綻なく書けるなんてすごいですよね。著者の船戸与一は、昨年5月に他界されてしまいました。とても残念なことです。私の本棚の中には、船戸与一著作の文庫本やハードカバー作品がいろいろありますがそのほんどが長編作品ばかり。遺作となった件の「満州国演義」が最大の大長編作品。

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